親や親族が亡くなり、賃貸物件を相続することになった場合、「家賃が入ってくるから安心」と考える人は少なくありません。しかし実際には、賃貸物件の相続はクレームやトラブルが発生しやすい分野です。相続人が大家としての責任を引き継ぐことで、これまで表に出ていなかった問題が一気に噴き出すケースも珍しくありません。本記事では、賃貸を相続した際に起こりやすいクレームの種類と原因、具体的な対処法をわかりやすく解説します。
賃貸物件は相続すると何が引き継がれるのか
賃貸物件を相続すると、建物や土地といった不動産だけでなく、賃貸借契約上の「貸主としての立場」もそのまま引き継がれます。つまり、相続した瞬間からあなたは「大家」となり、入居者に対して責任を負うことになります。
相続人が引き継ぐ主な責任
・建物の維持管理
・設備不具合への対応
・入居者からのクレーム対応
・敷金・更新・解約時の精算
・管理会社との契約関係
これらを理解しないまま相続すると、クレーム対応で大きなストレスを抱えることになります。
賃貸相続でクレームが発生しやすい理由
① 管理が長年放置されているケースが多い
高齢の親が所有していた賃貸物件では、「最低限の修繕しかしていなかった」「クレームを我慢させていた」というケースが少なくありません。相続をきっかけに入居者が不満を表に出し、クレームが一気に増えることがあります。
② 相続人が賃貸経営の知識を持っていない
相続人が不動産経営の経験を持たない場合、クレーム対応が後手に回りやすくなります。対応の遅れや説明不足が、新たな不満を生み、トラブルに発展することもあります。
③ 管理会社との関係が曖昧
管理会社と正式な引き継ぎを行わないまま相続が進むと、「誰が判断するのか」「誰が責任を持つのか」が不明確になり、クレーム対応が混乱します。
相続した賃貸物件で多いクレームの具体例
設備トラブルに関するクレーム
エアコンの故障、給湯器の不具合、水漏れなどは、相続後すぐに起こりやすいクレームです。「前の大家は直してくれなかった」「何年も我慢していた」と言われるケースもあります。
建物の老朽化に関するクレーム
外壁のひび割れ、屋根からの雨漏り、共用部の劣化など、建物全体に関わるクレームは修繕費も高額になりがちです。
騒音・近隣トラブルのクレーム
入居者同士の騒音問題やゴミ出しルール違反など、管理面のクレームも相続後に増えやすい傾向があります。
敷金・原状回復を巡るクレーム
退去時に「敷金が返ってこない」「原状回復費が高すぎる」といったクレームは、相続人が対応を誤ると大きなトラブルに発展します。
賃貸相続後のクレーム対応でやってはいけないこと
感情的に対応する
クレームを受けた際に感情的になると、問題は必ず悪化します。相続したばかりでも、大家として冷静な対応が求められます。
返答を先延ばしにする
「後で考える」「管理会社に任せきり」にして返答を遅らせると、入居者の不信感が強まります。
口約束だけで済ませる
修繕や対応内容を口頭だけで約束すると、「言った・言わない」のトラブルになりやすいため注意が必要です。
賃貸相続でクレームを減らすための正しい対処法
① 相続後すぐに物件状況を把握する
建物・設備の現状を把握し、修繕が必要な箇所を洗い出すことが最優先です。専門業者や管理会社に点検を依頼するのも有効です。
② 管理会社との契約内容を見直す
相続前の管理契約が現在の状況に合っていない場合もあります。管理範囲やクレーム対応の役割分担を明確にしましょう。
③ 入居者へ「相続の挨拶」を行う
相続後は、書面で入居者へ挨拶と連絡先の案内を行うと、信頼関係を築きやすくなります。「新しい大家が誰なのかわからない」状態は不安とクレームの原因になります。
④ 修繕ルールを明確に伝える
どこまでが貸主負担で、どこからが入居者負担なのかを明確に説明することで、不要なクレームを防げます。
賃貸を相続したくない場合の選択肢
賃貸物件の相続は、必ずしも「持ち続ける」必要はありません。
・相続放棄
・売却して現金化
・管理を専門会社に任せる
・建て替えや用途変更
など、状況に応じた選択肢があります。クレーム対応に大きな負担を感じる場合は、早めに専門家へ相談することが重要です。
賃貸相続とクレーム問題は早期対応がカギ
相続した賃貸物件でのクレームは、放置すればするほど深刻化します。逆に、早めに対応し、入居者との信頼関係を築ければ、安定した賃貸経営に立て直すことも十分可能です。
まとめ|賃貸相続ではクレーム対応も相続する意識を持とう
賃貸物件の相続は、資産を引き継ぐと同時に「責任」も引き継ぐことを意味します。クレームは避けられないものですが、正しい知識と冷静な対応があれば大きなトラブルに発展することはありません。相続した賃貸物件で悩んでいる方は、まず現状を正確に把握し、無理をせず専門家や管理会社の力を借りながら対応していきましょう。
