武蔵小杉駅は、JR南武線・横須賀線・湘南新宿ライン、東急東横線・目黒線が乗り入れる、神奈川県川崎市中原区のターミナル駅です。駅の周辺にはグランツリー武蔵小杉、武蔵小杉東急スクエア、ららテラス武蔵小杉などの商業施設もあって、「住んでみたい」と考える人が多いエリアですよね。
一方で、武蔵小杉というと、令和元年東日本台風(2019年10月)の浸水被害を思い出す人もいるかもしれません。この記事では、川崎市の公式サイトで確認できた情報(2026年10月29日確認)をもとに、人口、浸水対策、ハザードマップ、小児医療費助成、マンションの管理と高層マンションの防災を整理しました。中古マンションの価格は、物件ごとの差が大きいため、根拠を確認できない「相場の数字」や「資産価値が高い」といった表現は載せていません。
川崎市と中原区の人口
川崎市の公式サイト「川崎市の世帯数・人口」によると、令和8年(2026年)10月1日現在の川崎市の人口は1,565,872人、世帯数は788,160世帯です。前の年の同じ月より、人口は6,301人増えました。
中原区は、令和7年国勢調査(川崎市の結果概要)で、人口が269,570人と、川崎市の区の中で最も多い区でした。武蔵小杉駅のほか、武蔵中原駅、向河原駅などがある区です。
中原区を通る路線と、利用者の多い駅
中原区には、JRと東急の路線が通っています。主な路線の特徴は、次のとおりです。
- JR南武線:川崎から立川までを結ぶ路線で、区内には、向河原・武蔵小杉・武蔵中原があります
- JR横須賀線:武蔵小杉駅に停車し、東京・品川方面と、横須賀方面を結びます
- JR湘南新宿ライン:武蔵小杉駅に停車し、池袋・新宿・渋谷方面と、横浜・鎌倉方面を結びます
- 東急東横線:渋谷から横浜までを結ぶ路線で、区内には、新丸子・武蔵小杉・元住吉があります
- 東急目黒線:目黒から日吉までを結ぶ路線で、区内には、武蔵小杉・元住吉・新丸子があります。東京メトロ南北線や都営三田線、埼玉高速鉄道と直通運転をしています
利用者の多い駅
ここでは、鉄道会社が公式に公表している「1日あたりの利用者数」が多い駅を、利用者の多い(人気の)駅として紹介します。住みやすさのランキングとは別のものです。数え方は会社ごとに違います。JR東日本は乗車人員(乗った人だけ)、東京メトロ・東武・東急・小田急は乗降人員(乗った人と降りた人の合計)です。違う会社の数字は単純には比べられないので、同じ会社の中で見てくださいね。
| 駅 | 乗り入れる主な路線 | 1日の利用者数 | 数字の種類 |
|---|---|---|---|
| 武蔵小杉 | JR南武線・横須賀線・湘南新宿ライン、東急東横線・目黒線 | JR 113,452人(JR東日本の全駅で26位) / 東急東横線 158,089人 / 東急目黒線 54,005人 | JR・乗車人員(2024年度) / 東急・乗降人員(2025年度。他社線との乗り換え・直通の通過人員を含む) |
| 元住吉 | 東急東横線・目黒線 | 東横線 41,513人 / 目黒線 19,483人 | 東急・乗降人員(2025年度) |
| 武蔵中原 | JR南武線 | 27,602人 | JR・乗車人員(2024年度) |
| 新丸子 | 東急東横線・目黒線 | 東横線 19,161人 / 目黒線 8,048人 | 東急・乗降人員(2025年度) |
| 向河原 | JR南武線 | 7,302人 | JR・乗車人員(2024年度) |
中原区で、利用者がもっとも多いのは、やはり武蔵小杉駅です。JRの乗車人員は1日あたり11万3千人あまりで、JR東日本の全駅で26位。東急東横線の乗降人員は15万8千人あまりです。武蔵小杉駅に続いて、東急線では元住吉駅、JR南武線では武蔵中原駅の利用者が多くなっています。武蔵小杉駅のとなりの新丸子駅・向河原駅は、利用者の数がぐっと少ない駅です。
一般的に、利用者の多い駅は、お店や施設が多くて便利な一方、人通りや混雑も増える傾向があります。静かな暮らしを重視するなら、利用者の少なめの駅も候補にして、平日の朝夕に現地を歩いて確かめるのがおすすめです。
中古マンションの価格は、どう調べる?
中古マンションの価格は、同じ駅の近くでも、築年数・広さ・階数・向き・管理状態で大きく変わります。高層マンションなら、階数でも大きく変わります。「武蔵小杉は○○万円くらい」という一言の相場は、あまり当てにならないので、この記事では載せていません。次の調べ方がおすすめです。
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」で、実際の取引価格(不動産取引価格情報)を地図から調べる
- 売出価格だけでなく、同じマンションの成約事例(実際に売れた価格)を不動産会社に聞く
- 同じマンションの別の住戸と、階数・向き・リフォームの有無をそろえて比べる
具体的な物件のイメージは、【コスギ サード アヴェニュー ザ・レジデンス】購入前に必ず読むべき注意点と後悔しない判断基準や、【リエトコート武蔵小杉 ザ・クラッシィタワー】口コミから読み解く購入判断基準も参考にしてください。
浸水対策|令和元年東日本台風のあと、何が行われた?
令和元年東日本台風では、多摩川沿いの排水樋管の周辺地域で、浸水被害がありました。排水樋管とは、雨水を多摩川に流すための設備で、川の水位が高いときは、川の水が逆流しないようにゲートを閉めます。このとき、地域の雨水が川に流せなくなると、浸水の原因になります。
川崎市上下水道局の「排水樋管周辺地域における浸水対策の進捗状況について」(2022年5月14日のページ)によると、対策は短期・中期・長期の段階で進められています。
- 短期対策:排水樋管ゲートの改良や遠方制御化、観測機器の設置とゲート操作手順の見直し、排水ポンプ車の導入などが、令和2年(2020年)7月までに実施されました
- 中期・長期の対策:ページには、当面・中期・長期の各段階で整備の効果を出していく対策を進めていると書かれています。具体的な内容や完了時期は、ページ本文では確認できませんでした
つまり、「短期対策は終わったけれど、そのあとの対策は進行中」ということです。購入を考えるなら、最新の進み具合は、川崎市上下水道局のページで確認しておくのがおすすめです。
洪水ハザードマップ|中原区版は「多摩川」と「鶴見川」
川崎市の「洪水ハザードマップ」には、中原区版があります。区ごとに作られていて、次の地図面が載っています。
- 多摩川が氾濫した場合の浸水深
- 多摩川が氾濫した場合の浸水継続時間
- 鶴見川の浸水深・浸水継続時間
- 避難場所などが載った情報面
市のページによると、マップは2023年10月30日に公開され、2026年5月29日に、情報面の避難情報が改訂されました(洪水の浸水想定区域と浸水継続時間は変更なし)。多摩川の浸水想定区域図は、国が2016年5月30日に公表したものがもとになっています。
気をつけたいのは、このマップには内水(下水道などがあふれる水害)と高潮は含まれていないことです。内水・高潮のマップは、市の別のページにあります。川の氾濫だけでなく、短時間の大雨による浸水も確認しておきましょう。
不動産会社が中古マンションを売るときは、契約の前に、水害ハザードマップ上でその物件がどこにあるかを説明する決まりになっています(宅地建物取引業法施行規則の改正で、令和2年8月28日から)。説明を待つだけでなく、先に自分でもマップで確かめておきましょう。マップは、各区役所の危機管理担当などで配布されているほか、PDFでも見られます。
高層マンションの防災|「在宅避難」を前提に準備を
武蔵小杉は、高層マンションの多いエリアです。川崎市の公式サイト「高層ビル・マンションの防災対策~在宅での避難のススメ~」には、次のような注意が書かれています。
- 大きな地震で生じる、周期の長いゆっくりとした揺れ(長周期地震動)は、震源から数百km離れた場所でも、高層ビルを長い時間大きく揺らし、家具の転倒やエレベーターの故障を招くおそれがある
- 電気や水などのライフラインが止まってエレベーターが動かないと、水をくみに行く、トイレが使えないなど、高層階の人ほど不便になる
- 在宅避難に備えて、携帯トイレを始めとした備蓄を、ふつうの家庭より多めに用意する。エレベーターの閉じ込めにそなえて、エレベーター内の備蓄も呼びかけられている
また、川崎市には、地階を除く階数が10以上の高層マンションを対象にした、「高層集合住宅の震災対策に関する施設整備要綱」があります。高層階に防災備蓄スペースと共用部分の防災対応トイレを整備したマンションには、「整備基準適合証」が交付されます。気になる物件に、備蓄スペースやトイレの整備があるか、管理会社に聞いてみましょう。
子育て支援|小児医療費助成が、令和8年9月から高校生年代まで
川崎市の「小児医療費助成制度」は、令和8年(2026年)9月から、対象が中学校3年生までから、高校生年代まで(18歳に達した日以後の最初の3月31日まで)に広がりました。小学校4年生以上の通院で、1回500円かかっていた一部負担金も、廃止されました。
- 令和8年9月以降は、所得制限がありません
- 新しく対象になる人は、申請が必要です(小児医療証を受け取るため)
(市のページは、2026年10月29日更新です。)
中古マンションの「築年数」と「管理」を見極める
築年数は「新耐震基準」の前か後かを確認
建物の耐震基準は、昭和56年(1981年)6月1日から新しくなりました。築年数が古いマンションは、建築確認がいつだったかを確認しましょう。
川崎市の「マンション管理計画認定制度」
川崎市の公式ページ「川崎市マンション管理計画認定制度」(2026年4月1日更新)によると、次のとおりです。
- 対象は、川崎市内にあるマンション(2以上の区分所有者がいて、人の居住の用に供する専有部分のある建物)
- 認定の有効期間は5年間
- 市独自の条件として、「川崎市マンション管理組合登録・支援制度」に登録されていることが必要です
- 市への認定申請の手数料は無料。申請には、マンション管理センターが出す「事前確認適合証」が必要です
認定を受けているマンションは、管理組合の運営や長期修繕計画が、一定の基準を満たしているということです。購入前に、認定の有無を聞いてみましょう。
購入前に見ておきたい書類
- 長期修繕計画と、直近の大規模修繕の履歴
- 修繕積立金の残高と、今後の値上げ予定
- 管理規約と、直近の総会の議事録
- 防災備蓄・防災トイレの整備状況(高層マンションの場合)
武蔵小杉駅エリアが向いている人・慎重に見たい人
向いているかもしれない人
- JRと東急の複数路線が使える駅の周辺で、暮らしたい
- 高校生年代まで所得制限なしの小児医療費助成を受けたい
- ハザードマップ・浸水対策・管理の状態を、資料で確かめてから買いたい
慎重に見たい人
- 水害が心配(中原区版の洪水ハザードマップに加えて、内水のマップも確認しましょう)
- 高層階に住む予定(長周期地震動・エレベーター停止時の暮らしを、家族で話しておきましょう)
駅を中心に暮らしやすさを比べながらエリアを選びたい方は、同じ形式でまとめた三郷中央駅エリアの購入ガイドも参考にしてください。
よくある質問
Q. 武蔵小杉の浸水対策は、もう終わっているのですか?
川崎市上下水道局のページでは、排水樋管ゲートの改良やポンプ車の導入などの短期対策は、令和2年7月までに実施されたとされています。中期・長期の対策は進行中です。最新の進み具合は、市上下水道局のページで確認してください。
Q. 洪水ハザードマップは、どこで見られますか?
川崎市の公式サイトの「洪水ハザードマップ」のページに、区ごとのPDFがあります。中原区版は、多摩川・鶴見川の浸水深と浸水継続時間が載っています。各区役所の危機管理担当などで、紙も配布されています。
Q. 川崎市の子ども医療費助成は、高校生も対象ですか?
令和8年9月から、高校生年代まで(18歳に達した日以後の最初の3月31日まで)に広がりました。所得制限はありません。新しく対象になる人は、申請が必要です。
Q. 中古マンションの価格は、いくらくらいですか?
物件ごと、階数ごとの差が大きいため、この記事では数字を載せていません。国土交通省「不動産情報ライブラリ」で実際の取引価格を調べ、不動産会社に成約事例を聞くのがおすすめです。
まとめ
武蔵小杉駅エリアは、複数の路線が使える便利なエリアですが、令和元年東日本台風の浸水被害の経験があり、高層マンションも多いため、確認したいことがたくさんあります。排水樋管の短期対策は令和2年7月までに実施され、中期・長期の対策が進められています。また、川崎市の小児医療費助成は、令和8年9月から高校生年代まで所得制限なしになりました。価格の数字だけで決めず、ハザードマップ、浸水対策の進み具合、防災の備え、管理の状態まで確かめて、納得のいく物件を選んでくださいね。
